見落としがち! tell のニュアンスが本当はむずかしいという話 要注意
伝えますね?
tell は中学校で習う、比較的ハードルの低い単語ではないでしょうか。だからこそ、ちょっとした落とし穴があると思います。辞書だと、言う、話す、教える、伝える、とあります。
私は米国企業で働いているので、正しい英語も、間違った英語もよく耳にします。自分自身がやっていたミスに気がつくことも勿論あります。参考書などでは気づきにくいものも意外とありますので、自分のミス、他人のミスに限らず、「日本人の英語がうまくなる」ために良いと思ったことはシェアしたいなと思っています。
tell はその中のひとつです。
ちょっとドキッとする tellミス
オフィスでよく聞くちょっと残念な会話です。一見、ぜんぜん問題なさそうなのですが、、、
- Thomas: “This project still needs an approval from the management. Could you remind your boss to approve it?” このプロジェクトは承認が必要だね。あなたの上司に承認してくれるようリマインドしてくれますか。
- Tanaka: “No problem. I will tell my boss to approve it as soon as she can.” 私から上司に言っておきます(?)→ 要注意
ここで言う tell はちょっと命令っぽい感じがします。Bさんは「私から上司に伝えておきますよ」と言いたいのだと思いますが tell を使うことで「オレが上司に言って承認させておくよ」という上から目線に聞こえます。何かの情報を伝えるだけならいいのですが、誰かに何かをさせる tell someone to do something の場合は、やらせる、命令してさせる、というニュアンスがあるので気を付けたいです。使う相手にもよりますが、この tell は意外と強いんですね。
上司がこの会話を立ち聞きしていないことを望みましょう。汗
ではどのように言ったほうがよいのでしょうか
Bさん “I will ask my boss to approve it as soon as she can.”
ではいかがでしょうか。ask を使った方がよさそうです。会話の内容から判断してすぐに ask が出てこれば一番よいですね。ask は単純な「頼む、お願いする、依頼する」の意味で感情やニュアンスが含まれてない動詞です。
上記の会話で田中さんが tell を使ってしまった原因は、会話の流れで頭のなかに「じゃあ、私が伝えておきます」という日本語のセリフが浮かんで、それを単純に tell で訳してしまうからではないでしょうか。でも tell には気を付けたほうがいいですね。
今回の会話の場合、
- 伝える → (伝える内容が)依頼すること、誰かに何かをやってもらうこと → ask を使ってお願いしよう
tell に限らず、日本語から英語に置き換えようとすると、このような感じのちょっとしたミスというかニュアンスの差、誤解がうまれがちです。
ask と tell のニュアンスをみてみよう
(お願いする)
- I will ask Tanaka san to hand it to you. 田中さんに渡してもらうようお願いしておきます。
(ちょっと命令ですね)
- I will tell Tanaka san to hand it to you. 田中さんに渡すよう言っておきます。
- I will tell Tanaka san to call you back. 田中さんに折り返し電話するように言っておきます。
tell の場合、田中さんが同僚ならあまり問題ないのかもしれません。もし、田中さんがあなたの上司だとちょっと偉そうに聞こえるかもしれません。個人的には、相手が上司でも部下でもニュートラルかつ丁寧でいたいですよね。そういう意味ではやはり ask が無難です。
まとめ
tell のような身近な言葉に落とし穴があると、「英語は難しい、面倒くさい、誤解されることばかり心配していたら話せない」などと思うこともあります。でも、気が付いたら気をつけていくしかないですね。
ちょっとしたニュアンスが積み重なって自分の印象ができていくと思います。「日本語だとすごく丁寧なのに英語だと急にワイルドな話し方になる、という日本人は少なくない」という意見は外国人の友人から何度も聞いています。ダメではないですが、ちょっと残念ですよね。私もまだまだ分からないことが多く、疲れることもありますが、気楽に続けようと思っています。そのうちわかればいいや、と。
少しでも皆さんのお役に立てれば本当にうれしいです。