誤解を生みやすい英単語 Problem! 気軽に使わないほうがいい
「それは問題ですね」「ちょっと問題ありますねぇ」
日本人がよく使うセリフです。これをそのまま英語にすると、problem です。これが問題です。英語で problem がある、と言えば相手は「What’s wrong? どうしたの?大丈夫?」と親身になって聞いてくれるでしょう。
日本人が使う「問題」
日本人にとって、問題はどこにでもあるもの、常にあるものです。問題は小さいものから大きいものまであり、状況に対して、モノに対して、ヒトに対してなど、あちこちに問題はあります。たとえば、何か新しい電化製品を買ったとします。「問題なく」使っているけれど、こんな言い方をすることがありませんか。「起動の遅さにちょっと問題があるけど、けっこう便利だよ。」これを英語にしてみましょう。
What is the problem?
よく耳にする英語訳:There is a problem with starting speed, but it is quite useful. ×
本当の意味を英語にすると:Although it takes a bit of time to start, it is pretty useful.
そうですよね。本当はそこまで困っていませんよね。もし起動に10分も20分もかかるとしたら、それは大きな problem ですし、その場合はThis device has a huge problem. It takes ages to get started! となり返品するでしょう。
問題と Problem は同じではない
とまで言うと大げさなのですが、日本語で気軽に使う「問題」と英語で言う problem は重さが全然違うと思います。英語の場合は何かに重大な支障をきたすような解決必須のことがらや、本当に困っていることについて使うことが多いと思います。かなりのネガティブな言葉です。ですから上記の例にもありますとおり、起動がちょっと遅いくらいは実際は問題とまでは言えないんです。よほどの時にしか使わないです。
「問題」は悪くない
日本語の習慣として、ちょっとでも改善点があることについてですら「問題」と呼ぶ傾向があると思います。「課題」と置き換えて使えることも多いと思いますが、「問題」という単語はすぐに口から出てくるほどポピュラーです。
これは改善好きな国民性、問題は改善につながるのだから問題を発見することも良いこと、常に問題を把握して謙虚な気持ちでいること等の現れだと思います。日本語だけで暮らしていれば悪いことではないと思いますし、何の「問題」も発生しません。日本語でよく使う「問題」は実のところ、to be perfect になるための points to improve や things to enhance といった感じだと思うことが多いです。私たちなんだかんだ言って完璧主義ですからね。
日本語で思うところの「問題」はどうやって表現するの?
- It is not a big deal, but it can be improved. 大した事ではないが改善は可能でしょう。
- It can be even better. もっとよくなる可能性はあります。
- We can make it better! 改善できます。
- There is a challenge for you. 改善(挑戦)してほしいことがあります。
- Although the new employee speaks little English, his sales skill is outstanding. 新人は英語はあまりしゃべれませんが、営業スキルはかなりのものです。(もし、セールスする相手が外国人で英語がないと仕事にならないとしたら、この人物の英語スキル不足は大きな problem と表現していいです)
ネガティブな人だと誤解される
There is a problem… とばかり言っているのに結局たいした問題はないとなると、「あの日本人はやたらネガティブだ」と誤解されてしまう可能性があります。日本人から見れば、「謙虚で真面目、完璧を目指して自分に厳しい」といった解釈もできるのですが、外国人相手だとそのようには見てもらえないので、注意が必要だと思います。
前向きに行こう!
ということで、problem という単語を使うときには、本当に問題か、本当に困っているか、という点を考えてから使うようにしてみましょう。特に仕事の場面などではできる限りネガティブな言葉を使わないほうがいいです。何かを「問題」ととらえるのではなく、さらに良くなるための要素として表現すると前に進めるため、外国人には理解してもらいやすいです。改善するためにとるアクションにフォーカスして会話を進めることが、ものすごく大事だと日々感じます。これは言葉の「問題」というより文化の「問題」かもしれませんね。
少しでも皆さんのお役に立てれば本当にうれしいです。