Problemを使うのは問題だ!?
Problem は問題か?
「ちょっと問題があります」「それは問題ですね」
日本人が大好きな?フレーズです。職場ではよく使われているように思います。英語だと Problem ですけれどちょっとした誤解が生まれやすい単語の一つだと感じます。
先に結論を言えば、日本人が小さなことや、すぐに解決できることでもすぐに「問題」という単語を使ってしまうことが問題です。日本人は他の民族より圧倒的に高い割合で心配性の遺伝子を持っている、らしいですので仕方のないこととも思えますが、外国人から見ると「大げさ」「自信がない人」「ネガティブな人」「やりたくないの?」「状況判断できないの?」と誤解されてしまうことがあります。
問題をProblem と言ってそんなに悪いの??
例えば、職場でも学校でも、何かのプロジェクトを進めようとすれば必ず乗り越えなければならないポイントや、変更しなければならないことが出てくると思います。
私の主観も入りますが、そうした状況に対する日本人と外国人を比較した場合、以下のような傾向があると思います。
- 日本人によくある発想:あ、こんな点が妨げになっている。改善できなかったらどうしよう。達成のハードルを上げておこう。失敗するかもしれない小さなリスクもすべて伝えて上司からの期待値を下げておこう。→ 「問題があります」と上司に報告する。
- 外国人によくある発想:スムーズにはいかない点を発見。それはゴールにたどり着くために当然必要なことである。必ず改善できる。自分たちが成長できるチャンス。大したことはない。 → 「まったく問題ありません」と上司に報告する。
よくあるやりとり
ひとつ例をあげてみたいと思います。
日本人の佐藤さんが上司のケビンに経過報告をしている場面
Mr. Sato ” Hi, Kevin. There is a tiny problem to proceed the project. We need to ask Company X to provide us with an additional parts. “
Kevin “Have you already asked Company X about it? “
Mr. Sato “No, not yet. We are going to ask them this afternoon.”
Kevin “Great. Let me know how it goes.”
佐藤さんは「小さな問題があります。X社から部品を追加で調達しなければなりません。」と言っていますが、実際には「これから供給の依頼をする」わけで、断られたわけでもありません。上司の Kevin は「問い合わせした結果をまた教えてね」と言っているだけです。
つまり、佐藤さんは、まだ本当の問題にもなっていないことを、problem という単語を使って表現しています。これは会話の場で「問題」にはならないのですが、長期的には「あの人はいつも自信がない」「問題でもないことを問題だと言うなんて、状況を正しく把握する能力がないのかな」と誤解される危険があります。
これは、佐藤さんが悪いわけではないですが、文化的な感覚の違いを意識しないで、単語だけ置き換えたときに起こる誤解のひとつです。
To be or not to be, that is the question!
「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ!」
色々な翻訳がありますが、シェークスピアのハムレットに出てくる有名なセリフです。
確かに日本語の「問題」がしっくりきます。生きるか死ぬかの話なので、これこそは問題なんですよね。原文では、Question なんですが、Big Problem と言ってもいいでしょう。
Problem が使われる典型的な例としては、環境問題、差別問題、雇用問題、離婚問題、あるいは上記の佐藤さんと Kevin さんのやり取りであれば、「X社に部品供給を断られて、さらにどこからも部品調達ができないと判明して、プロジェクトがとん挫するかもしれない」といった状況になれば Problem を使うと思います。ハリケーンなどで工場が稼働できなくなったとか、誰かが病気になってしまったというのも間違いなく Problem です。
Problem は本当の「問題」の時だけ使いましょう。
じゃあ、なんと言えばいい?
Problem は以前ブログで書いた、Difficult にとても似ています。代用できる単語も似ています。リンクを貼っておきますので、よろしければ合わせてご覧ください。
Problem と言いたくなった時には、こんな単語を使ってみましょう。
- have a challenge
- have an issue
- have opportunities to improve
- need a modification/ need to modify something
- need to arrange something additionally など
こんな表現では足りないくらいの状況だよ!となれば Problem でもいいのかもしれませんね。
まとめ
問題には、解決しなければならない事項、数学などの問題、いろいろあります。簡単に覚えられる単語だからといって油断できないなと思います。どんな単語も、いつ、どんなふうに、使われているか観察するのは大切ですね。
日本語と同じで、英語にも流行りや考え方の変化に伴う使用法の変化があります。20年前ならアメリカ人も確実に problem をもっと頻繁に使っていたと思います。There is no problem, but only solutions. というようなフレーズが流行ったこともありました。どんどん進化していって、今ではネガティブな言葉自体を使わない傾向になっていると感じます。
言葉は生き物ですね。
少しでも皆さんのお役に立てれば本当にうれしいです。